AWS Certified Machine Learning – Specialty(以下、MLS)を取得したので、MLエンジニアに取って役に立つ試験なのか、自分の勉強手順について書いてみます。
AWS Certified Machine Learning – Specialty
AWS認定試験のうち、AWS上で機械学習を用いたソリューションを実施するために必要な知識を扱った試験です。
公式試験ガイドでは以下の能力を検証する試験とされています。
「AWS クラウドを使用して、特定のビジネス上の課題に対する機械学習ソリューションの設計、構築、デプロイ、最適化、トレーニング、チューニング、および保守を行う受検者の能力」
受験対象者としては、以下の方を対象としています
「AWS クラウドにおけるML/ディープラーニングのワークロードの開発、アーキテクチャ設計、運用に関する1 ~2 年以上の実務経験を有する」
試験は4分野に分かれていて、出題比率が異なります。 AWS上でMLシステムを構築するためのサービスや、MLエンジニアとして必要なモデリング知識全般を問われます。
どうして受けたか
普段はMLエンジニアとしてAWS上でMLシステムの開発を行なっています。
自分は大学院で機械学習系の研究を行なった後MLエンジニアの職についたので、インフラ周りの知識・経験が不足していました。
業務で使っているサービスは少し分かるが、使っていないサービスについてはさっぱりでした。
いざMLシステム開発をAWS上で行うとなった時に引き出しが少なく困ったので、試験勉強を通して周辺知識を手っ取り早くキャッチアップできると思い受験しました。
MLエンジニアにとって役立つ試験か
MLエンジニアとして働くために十分な知識・能力を保障する試験かというと、自分はノーだなと思いました。
ペーパーテストという性質上、もっともらしい答えがある問題を作る必要があるため、どうしても実際のMLシステム開発の現実とギャップがあるなと感じました。
そもそもビジネス課題と密接に結びついて、自分で問題設定して解かなければいけない機械学習を選択問題に落とし込むのが無理があるなと思います。(受けといて偉そうなことをすいません)
例えば、MLSの試験では欠損値への対応はMICEを用いる選択肢が最も効果が期待される正解として扱われますが、ビジネス上のデータで欠損値補完に取り組んだことがある人は、おそらく違和感を覚えると思います。
参考: 機械学習における欠測の取り扱い - Qiita
また、自作の推論エンドポイントを立てるベストプラクティスがSageMakerばかりが取り上げられていて、AWS側からのSagaMakerを売ろうとする匂いがします。
レイテンシ要件が厳しい場合、SageMakerを使用するのは困難です。その場合、ECSやEKSなどで自前の推論サーバーを構築する必要がありますが、MLSではそういったケースをカバーできていません。
MLエンジニアとして働くには、kaggleなど自分で手を動かしてデータに触りMLモデルを作れる能力や、幅広い引き出しの中からビジネス要件にあったシステムを考えられる能力が求められるため、MLSのような教科書知識だけを身につけても実際の現場で役に立つ内容は少ないのかなと思います。
ネガティブな意見を書きましたが、データエンジニアリングの内容は、普段特定のサービスしか触れていない自分にとっては、MLシステム開発に役立つサービス知識の幅を広げられるきっかけとなり大変有意義な内容でした。
AWSのAI系マネージドサービス、ETLサービスを学びたい方ならおすすめできる試験だと思います。
勉強方法
点数は843でした。3万円の受験料だったのでプレッシャーが大きかったです。
以下の流れで試験勉強を行いました
- 公式のサンプル問題
- 公式の試験対策講座
- 実践AWSデータサイエンス本
- udemyの模擬試験
- 公式の模擬試験
公式のサンプル問題
AWS認定試験の公式ページに、MLSの試験ガイドとサンプル問題があるので一通り目を通しました。
EMR・Kinesisなどのサービスをちゃんと学んだことがなく、サンプル問題を見て、知識不足を実感し焦りました
- AWS Certified Machine Learning - Specialty 認定 | AWS 認定 | AWS
- https://d1.awsstatic.com/ja_JP/training-and-certification/docs-ml/AWS-Certified-Machine-Learning-Specialty_Sample-Questions.pdf
公式の試験対策講座
公式の試験対策講座を用意してくれています。試験範囲の確認で、サービス一つ一つの説明はないので、何を学べばいいのか把握するのに役立てました。
Exam Readiness: AWS Certified Machine Learning - Specialty
実践AWSデータサイエンス本
MLSの試験範囲をそのままカバーしてて、参考書が欲しい人にはぴったりだと思います。
サンプルコードをそのまま動かすと結構な額を請求されるので注意してください。 https://www.amazon.co.jp/実践-AWSデータサイエンス-―エンドツーエンドのMLOpsパイプライン実装-Chris-Fregly/dp/4873119685
udemyの模擬試験
問題に慣れるために、2つの模擬試験コースをやってみました。
1つめのコースだけ行えば十分だと思います。自分は1つ目のコースを3周しました。
AWS Certified Machine Learning Specialty Practice Exams | Udemy
AWS Certified Machine Learning Specialty: 3 PRACTICE EXAMS | Udemy
公式の模擬試験
AWS認定試験のページに模擬試験が見つからず途方にくれてたら、calssmethodさんが模擬試験の記事を書いてくれていました。skill builderから無料で受けられました。
試験受けるたびにclassmethodさんのブログには助けられています。
AWS認定の無料模擬試験がさらに便利になりました! | DevelopersIO Self-paced digital training on AWS - AWS Skill Builder